カナダ代表

36年ぶり2度目のW杯出場を決めているサッカーカナダ代表。カナダ国内では大いに盛り上がったが、実はスペインでもある盛り上がりを見せた。

ラ・リーガのアトレティコ・マドリードとスペイン放送局『メディアプロ』は、カナダにおけるサッカーのプロ化に携わっており、カナダ・プレミアリーグを成長させる真のチャンスだと考えている。

2019年カナダ・プレミアリーグ創設


プロジェクトの始まりは、決して簡単なものではなかった。同国のプロリーグは2019年に初めて誕生したが、2019年は7チームでの開催。翌年の2020年にアトレティコ・マドリードの「カナダ支部」であるアトレティコ・オタワが新たに参戦したのだ。

その後、連盟のコミットメントにより、ライセンスプログラムの対象となるクラブは39から164に増え、現在では26万9250人の登録選手がいる。ただ、その内のシニア選手は16.4%にしか過ぎない。

アトレティコ・オタワのCEOであるフェルナンド・ロペス氏は、「市場を分析したところ、カナダにおいてサッカーはユースレベルでは最もプレーされているスポーツであるが、ユース以降の継続性がないという問題があることがわかった」と語る。16歳を過ぎると、プロとしてのキャリアを続けるには国を出るしかないという現実を突き止められるのだ。

そんな問題を解決すべく、MLS(アメリカ)でプレーするカナダの3チーム(CFモントリオール、トロントFC、バンクーバー・ホワイトキャップス)とは別に、8チームが競い合うカナダ・プレミアリーグが誕生した。

アトレティコ・マドリードはライセンス取得に100万ユーロ以上を投資し、19-20年と20-21年の間に、さらに100万ユーロの追加投資を引き受けた。現在、新たに3チームが決定しており、W杯開催までに14チーム、そして2026年からは18チームへの増加も検討されている。

カナダのスポーツ事情

アイスホッケー

調査会社『The Insights Family』の最近の調査によると、サッカーはカナダで3番目に視聴されているスポーツ。1位はアイスホッケーで2位はバスケットボールだが、バスケとはほぼ同じ数値だという。

しかし、3歳から14歳の子どもたちがプレーするチームスポーツとしては、バスケットボールとアイスホッケーを大きく引き離してサッカーが最も人気があることが明らかになっている。

アトレティコ・オタワは、住民と代表選手とのつながりの重要性を説いている。「ファンがその都市のチームを応援することになるため、私たちはそれを利用したポジティブな流れを生み出している」とフェルナンド・ロペス氏は言う。

今のところ、クラブの歴史が浅いにもかかわらず、アトレティコ・オタワは2019年に1試合平均4000人の観客を集めることに成功し、24000人の観客を収容できるスタジアムを有している。

ビジネス面


ロペス氏は、「サッカーはファンも大切だが、メディアを制する必要がある。コンテンツにお金を払うことに慣れている市場であり、ほぼすべての家庭が何らかの購読をしているにもかかわらず、広告や購読者は無限ではない」と強調した。

ここで重要な役割を果たすのが、10年前からカナダのコマーシャルとテレビ放映権を獲得しているメディアプロ社。配信は、専用のOTT「OneSoccer」のみで行われる。

またこれまでに、フォルクスワーゲン、マクロン、ウエストジェット、ゲータレード、オールステートなどのブランドがすでにこのプロジェクトに参画している。そして、アトレティコ・マドリードとメディアプロは、オタワの商業権を共同で販売することを決定した。

カナダサッカー界と社会


メディアプロは、カナダのサッカー界には、現在の社会運動と連動した一連の属性があると主張する。「代表チームは、多様性の最たるもの。代表チームを見れば、多様な社会を映し出すことができる」。

実際、アルフォンソ・デイヴィス(リベリア)、ジョナタン・デイヴィッド(ハイチ)、ミラン・ボージャン(セルビア)のケースや、アイスホッケーやアメリカンフットボールよりもサッカーを優先するラテン系・カリブ海系カナダ人が多くいる。

カナダサッカー界の今後


W杯の影響でメディア部門の飛躍は見受けられるかもしれないが(2014年大会の国内視聴者数は2100万人)、2026年までの大きな課題は、MLSに対抗できるというより、育成リーグに近いカナダ・プレミアリーグから代表チームに選手を出すことである。

「経済的、スポーツ的な持続可能性(アカデミーの人材)のプロセスは非常によくできており、有望な選手には継続性が与えられていますが、今は予算が増えるように収入を得る必要がある」とアトレティコ・オタワ側は主張する。

アトレティコ・オタワからヨーロッパでプレーするために移籍する選手もおり、その経験はポジティブなものだ。フェルナンド・ロペス氏は「現在のカナダ・プレミアリーグは、スペイン3部リーグの上位チームに匹敵するほどの競争力がある」と語った。

オタワは、人口100万人で21以上のクラブがあり、3万人の子供たちがユースレベルでサッカーを楽しむ。今後、カナダ国内でのサッカー界の成長を期待したいところだ。