エンソ・フェルナンデス

移籍市場締め切り間際、アルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデスがベンフィカからチェルシーへ移籍することが発表された。

支払われた金額は、驚異の1億2100万ユーロ。これは、グリーリッシュがアストンヴィラからマンチェスターCに移籍した際に支払われた金額(1億1750万ユーロ)を上回る、プレミアリーグ最高額である。

そんなエンソ・フェルナンデスだが、現在一気にスター街道を歩んでいる。1年前までは母国の強豪リーベルプレートでプレーし、アルゼンチン代表にも選ばれたことがなかった。そこから現在に至るまでの道のりは急斜面の登り坂だ。

裕福ではない幼少時代と飛び抜けたサッカーの才能

エンソ・フェルナンデスは裕福な少年時代を過ごしていない。昨年12月29日、60万人の登録者を持つ『EZZEQUIEL』というYouTuberが行ったインタビューにて、「幼少期は食糧不足だったか」という質問に対して「そうだった」と回答している。

また、「中等教育を修了したか」という問いに対しては「していない」と答えた。

ただ、サッカーに関してはピカイチだったという。『TyC Sports』によると、上の世代でも謙遜なく突出した能力を発揮していたそう。5歳の時にクルブ・ラ・レコバというチームに入団すると、翌年には強豪リーベルプレートに引き抜かれた。

そこからはプロに至るまでリーベルプレート一筋でプレー。順調にカテゴリーを上げていき、18歳の誕生日を迎えた直後の2019年1月27日に初めてトップチームのベンチ入りを果たした。

プロデビューからアルゼンチン強豪の主力へ

トップチームの試合に出場したのは、初のベンチ入りから1年以上も後のことだった。リベルタドーレスのグループステージ、アウェイでのキト戦で9分間ピッチに立つことに。試合には敗れたが、エンソにとって大きな第一歩となった。

その後デフェンサ・イ・フスティシアというチームにレンタル移籍すると、十分な出場機会を確保。主力として経験を積んだ。

1年でレンタルバックとなったエンソは、徐々にガジャルド監督の信頼を得ていくと、強豪クラブの主力に定着。カタールワールドカップのアルゼンチン代表でも共に闘ったフリアン・アルバレスとチームを引っ張った。

2021年下半期から2022年上半期にはチームの絶対的存在となり、同年夏に自身初の欧州挑戦としてポルトガルのベンフィカへ移籍することになった。

アルゼンチン代表デビュー、そして主力としてW杯制覇

新天地のベンフィカでもリーベル時代と変わらぬプレーを見せていたエンソ。その活躍が認められ、ワールドカップ開幕直前の2022年9月にアルゼンチン代表に初めて選ばれた。そして同月24日のホンジュラス戦で代表デビューを果たした。

そこからワールドカップメンバーに滑り込みで選出。わずか半年間で一気にサッカー選手としての成長を見せた。

ワールドカップでの活躍は周知の事実。当初はレアンドロ・パレデスの控えとしてベンチスタートだったが、途中出場でも存在感を放つと、グループステージ第3節にはスタメンに名を連ねる。そこで元同僚のフリアン・アルバレスへのアシストを記録するなど一気にその実力を見せつけた。

そこからは豊富な運動量を武器に中盤の底で攻守に貢献。決して大柄ではない身体で堅い守備をしながら、優れたパスセンスで攻撃にも味を付けた。

アルゼンチン代表としてはワールドカップ制覇、そして個人としては最優秀若手選手賞に選ばれるなど充実した1ヶ月を過ごすこととなった。

プレミアリーグ最高額でチェルシーへ移籍

ワールドカップでの活躍もあり、着実に実力をつけ、経験を積み重ねているエンソを多くのビッグクラブが冬の移籍市場で狙っていた。レアル・マドリードか、リバプールか、チェルシーか、はたまた、、、。

そんな中でエンソの移籍先として決まったのは、チェルシーだった。移籍金はプレミアリーグ最高額となる1億2100万ユーロ。今シーズンリーグ戦で苦しむチームを救うべく、救世主として白羽の矢が立った。

このように、特にここ1年で凄まじい飛躍を見せたエンソ・フェルナンデス。今後どのような成長曲線を描いていくのか、注目である。

(By ALLSTARS CLUB編集部)