代表戦

2018年の日本代表


2014年のブラジルW杯、ザッケローニジャパンが惨敗してGS敗退となった後、日本代表監督に就任したのはメキシコ人のハビエル・アギーレだった。

当時は日本代表とメキシコ代表の比較が度々なされていた。メキシコ人は日本人よりも平均身長が低く、体格もラテンアメリカの中では決して大きいとは言えない。それでもサッカーでは、縦に素早くパスを繋ぐプレーで強豪国と張り合っているため、日本でも合うのではないかと期待されていた。

しかしアギーレ監督はラ・リーガのクラブを率いていた際に八百長に関与していたということで告発され、日本代表監督も解任されることとなった。

その次に監督に就任したのは、ハリルホジッチ監督。彼が最も大切にしたのは「デュエル」だった。デュエルとは、1対1の強さのこと。ハリルホジッチ監督は、データを駆使してここにこだわった。

そのためには、本田圭佑や岡崎慎司といった当時の日本代表の絶対的選手をスタメンから外すことも厭わなかった。ただ、日本の”血”を変えようとしたことは評価に値するが、主力選手たちを冷遇したこともあり、監督との間に溝が生まれ始める。結局2018年W杯の本戦直前に解任させられることになった。

そこで急遽監督に就いたのは、西野朗監督。結果的に強豪国を破ってベスト16まで導き、大きな賞賛を浴びた。

西野ジャパンは4-2-3-1で大舞台に挑んだ。このフォーメーションで鍵だったのは、ダブルボランチの一角を成した長谷部誠だろう。長谷部がセンターバック2枚の間まで下がって攻撃を組み立て、両サイドバックがウィングバックのようなポジショニングをするという状況に応じた3-6-1のようなフォーメーションが特徴的だった。

長谷部が最後尾から組み立て、もう一人のボランチである柴崎岳が前線へ鋭いパスを送る。そして、トップの大迫がポストプレーを行う。この戦術が見事にハマり、ベスト16でのベルギー戦であと一歩のところまでたどり着いた。

2022年の日本代表


2018年のW杯終了後に監督に就いたのは、森保一監督。これまで外国人監督にこだわる傾向のあった日本代表だったが、西野監督の躍進もあってか、2人連続で日本人監督が指揮を取ることに。

森保監督はさまざまなフォーメーションを試してきた。4-2-3-1に始まり、4-4-2、3-4-2-1、4-3-3といった陣営だ。しかしアジア最終予選が始まる頃には4-2-3-1を採用した。大迫をトップに添え、ポストプレーで攻撃を組み立てるといった戦術だ。

ただ、最初の3試合はとにかく得点を奪うことができなかった。オマーン、中国、サウジアラビア相手に1勝2敗、得点はわずかに1だった。守備は素晴らしいものの、攻撃の際のアイデアが乏しく、格下相手に苦戦を強いられた。

そこで森保監督が採用したのが、4-3-3。遠藤航、守田、田中碧を中盤三枚に起用した。結果的にこれがハマることになる。

遠藤が強度の強い守備で相手の攻撃を潰し、守田が攻守のバランスを保つ。そして、田中がずば抜けたパスセンスで前線に良いボールを供給するといった役割分担でオーストラリア相手に2-1で勝利。それ以降はチームとして比較的安定したパフォーマンスを見せ、W杯出場を決めた。

ただ、物足りなさもある。かなり格下のオマーンや中国、ベトナム相手に圧倒できていない。一度沼にハマってしまうと戦術を改善できないという場面もよく見られた。クラブで絶好調の鎌田や三笘などアイデア豊富な選手を中心に攻撃面を改善していけるのか。W杯まで注目しよう。

2018年のブラジル代表


2014年自国開催のW杯で「ベロオリゾンテの悲劇」を経験したセレソンは四年後の2018年ロシアW杯でベスト8でベルギーに敗れた。この前回大会は、ベスト8とブラジルにとっては惜しいものとなってしまったもののチームとしての出来はかなり高かった。

セレソンはいつの時代も前線にワールドクラスのタレントを揃えサッカー界を魅了するが、ロシアW杯でのセレソンの強みは何と言っても堅固な守備にあった。

グループステージでは一試合目のスイス戦だけ1失点してしまったものの、それ以降、ベルギー戦までは失点をせずに駆け上がった。ベルギー戦の2失点もオウンゴールとデブライネの圧巻の弾丸シュートによるものだけだった。

しかし思い返してみると現在のセレソンのメンバーと見比べてみると攻撃面に課題があったのかもしれない。

2022年のブラジル代表


ロシアW杯では4-3-3のフォーメーションだったといったが、近年では4-2-3-1のフォーメーションをとることが多い。攻撃の両翼は、CL決勝で決勝ゴールを決め、今シーズン最も市場価値を上げたヴィニシウス・ジュニオール、また右サイドはカットインの貴公子アントニーやハフィーニャ、またリシャルリソンの三人とバラエティが豊かだ。

先週の韓国戦ではネイマール、リシャルリソンの2トップにハフィーニャをRMFに起用し、4-4-2といつもと違ったフォーメーションで挑んでいた。

つまり前線によりタレントが集まっている2022年は前回大会以上に戦術のバリエーションも増している。

また今シーズンはマルセロやダニ・アウベスとセレソンを支える存在も大きいだろう。年齢的にもW杯をフル稼働で出場する可能性は低いが、それでもベンチから第二、第三の監督としてピッチの選手を支えられるに違いない。

現にマルセロに関しては今シーズンのチャンピオンズリーグでは、いざというときに監督のアンチェロッティの横に並んで指示を出している姿が目立っていた。

2022年6月6日にブラジルと日本が対峙したが、結果は1-0でブラジルの勝利。日本代表にとって唯一の失点もPKによるものだったため、21本のシュートを打たれたことを考えると守備陣は奮闘したと言えるだろう。