カンテラ

サッカー界には、各クラブに下部組織というものがある(全てではない)。若い有望選手が年齢ごとに分けられたカテゴリーで戦い、しのぎを削り合う。各カテゴリーに昇格する時にはテストが行われ、徐々に絞られていくという厳しい環境だ。

例えば、バルセロナの黄金期を作った下部組織「ラ・マシア」からはプジョルやブスケツ、メッシ、シャビ、イニエスタなど錚々たるメンバーが輩出されてきたが、彼らもこの登竜門をくぐり抜けてきた。

今回は、スペインの下部組織に24年間携わった経験があり、イニエスタ・メソドロジーのディレクターとして2年半働いたフアンキー・カレロ氏による『スペインでの下部組織の仕組み』を見ていこう。

同氏は、イニエスタが小さい頃に所属していたアルバセーテ・バロンピエで、ユースサッカーのコーディネーター、トップチームのアナリスト、コーチングスタッフとして、全ての年代の下部組織を経験している。

スペインでの下部組織の仕組み

スペインには、数多くのスポーツ連盟、サッカースクール、サッカークラブやチームが存在する。一般的に、子どもたちはプロサッカーチームのユースチームに所属することを夢見ているが、その機会を得られるのはテストに合格したごく一部の優秀な選手たちのみ。

このようなプロのクラブに、より多くの選手が参加できるようにするために、財団が設立された。その結果、スペインリーグのほとんどのクラブは、下部組織の組織図に財団を持っている。このような組織は、レベルの低い子供たちがプロのクラブに所属する可能性を与え、より多くの子供にトレーニングを提供し、クラブのファンを増やすことを目的としているのだ。

また、アカデミー、協会、クラブ、スクールなど、多種多様なスポーツ団体が存在し、それぞれが異なる目的を持つ。純粋に楽しみながらのトレーニングから、最高レベルの競技やサッカーの育成まで、それぞれの団体が持つ理念を見つけることができるのだ。

年齢層ごとのカテゴリー分け


では、スペインではどのような年齢層に応じてカテゴリーが分けられているのか。

各カテゴリーは2歳ずつで構成されている。イニシアシオン(4-5歳)とプレベンハミン(4-7歳)のサッカーは、子供の成長を考慮して、それに適したルールとコートサイズで行われる。

一つ上のベンハミン(8-9歳)は7人制用のピッチでプレー。8人制の場合もある。

さらに上の「アレビン」と呼ばれるカテゴリー(10-11歳)では、ほとんどの地域で7人制サッカーのピッチが使用されているが、例外的に11人制サッカーが行われることもある。

完全に11人制で行われるのは、12歳以降。インファンティル(12-13歳)、カデーテ(14-15歳)、フベニル(16、17、18歳)と徐々にプロサッカーへ向けた準備段階がスタートしていくのだ。

スペインの大会構造


ここでは、トーナメントがどのようにプランニングされ、どういった運用になっているかを見ていこう。

スペインでは、すべてのカテゴリーやチーム、クラブのニーズや関心に合わせて、さまざまな大会が開催されている。年齢に関係なく、クラブやチームの目的や選手の年齢に応じて、毎週のように大会が行われるのが一般的だ。頻繁に、地方大会、地域大会、さらには全国大会まで行われる。

日本の大会構造


一方で日本ではどうだろうか。日本では一般的にリーグ戦がスペインのように重要性を持つのは中学生になってから。中学生未満は短いリーグ戦や週末のトーナメントが開催されることが多い。

中学生になると、スペインに似た大会のシステムになる。チームのレベルに応じて、地区大会や全国大会でプレーすることになり、レベルが上がっていく。また、日本全国中学校大会も一つのビッグイベントだ。

日本において、学生サッカーの頂点は、大学リーグだろう。スペインでは、日本のように大学からプロになることが少ないが、日本ではプロの各スカウトは大学リーグでの試合で目を光らせている。例えば天皇杯でJクラブ相手に衝撃を与えた三笘薫も大学出身だ。

スペインと日本のトレーニング方法の違い

最後に、トレーニングにおけるスペインと日本の違いは何なのか。まずはスペインから見ていこう。

フアンキー・カレロ氏によると、スペインでは、自分自身による意思決定やそのトレーニングが何を意味しているのかを考えさせられるという。オープンな環境で練習が行われるため、それぞれの状況や要因に応じて、自分の行動を適応させなければならないのだ。

スペインスタイルの長所としては、試合中に自分の豊かなアイデアで苦しい状況を打開することができる能力を養えるが、一方で、周りの連携をとっておかなければ、それぞれが違う意志でプレーし、個人プレーのようになってしまうという短所もある。

他方、日本のトレーニングでは、日本のメソドロジーを分析してみると、「直接的な指示」や「任務の設定」でトレーニングが展開されていることがわかる。コーチが練習で提案したアクションを実行し、動きやジェスチャーを繰り返し行うことになる。スペインとは正反対のスタイルだ。

日本のスタイルの長所としては、規則を守ってプレーするという組織的なサッカーを展開できること。ハイレベルな基礎技術を用い、相手チームを翻弄する。

一方で、追い込まれた時に、独創的なアイデアで突破することが難しくなるという短所もある。

もちろん、スペインも日本もこれらの「短所」は改善されてきているように見える。

まとめ

以上がスペインの下部組織の仕組みと日本の下部組織との比較だ。下部組織での大会方式や大学サッカーの重要度、トレーニングの方法など様々な違いがあることが分かる。

さらに詳しく学びたい方は、以下の動画をご覧いただきたいと思う。