練習では活躍できるのに公式戦や緊張感のあるゲームでは活躍できない選手が多い。

一方で上船氏がプロでドイツにいるときは、練習よりも試合で活躍している選手が多いイメージだったという。しかし日本ではその真逆の現象が起きている。



そのような理由と解決するためには何が必要なのか。選手を指導している方やプロを目指すこどもを持つ保護者の方も一緒に考えていただきたい。

1.  練習、試合、それぞれの取り組み方


練習の時は、チームで一番下手な気持ちで何でも吸収するぐらいの勢いで取り組む。ただし試合になれば、自分は王様でピッチ内で一番上手いと思うぐらいの気持ちを持たなければならない。

上船氏もドイツでプロとしてプレーしていた際の試合中に、「フリーキックになると蹴らせてもらえない」「チームメイト全員が王様の気持ちでプレーしている」という体験をしたという。しかし日本では、例えばFKやCKになると、上記のような”取り合い”の状況にはあまりならない。

あるドイツ代表選手の話


試合前日にFKの練習で10本中9本外し、1本だけ決めることに成功。そして試合当日、前日に練習していたFKと同じような位置でFKを獲得。その選手は他の選手から「練習で9本も外してるんだから、俺に蹴らせろ」と言われる。

それに対してあるドイツ代表選手は「俺は前日決めたじゃねーか!」と豪語しFK蹴ることを強硬した。結果としてそのFKを見事決めることに成功した。

ポイント

9本外したという事実に目を向けるのではなく、1本決めたという事実にフォーカスし、自信を付けている。これはFKだけでなく全ての事に言えること。これはピーター・ドラッカーの有名な「コップの水理論」に近しいものがある。

2. 使っている脳を思考脳から直感脳に


上船氏が2つ目として挙げる公式戦で活躍できない理由は、「日本の多くの選手は思考脳で試合をしてしまっている」ということだ。

一方で海外で活躍している選手たちは、直感脳を使ってプレーする選手が多い。ではこの違いは一体何だろうか。

直感脳&思考脳について 例

車の免許取得して間もない頃は友だちと喋りながら運転するのは困難だが、これは思考脳を使いながら運転しているから。しかしずっと運転して慣れてくると、直感脳を使って運転するようになるため、会話をしながら運転をいとも簡単にこなせるようになる。


日本の選手は練習のときに直感脳を使っている選手は多いが、試合のときには思考脳に変わってしまう。この原因は、練習と試合で全く違うことをやってしまっているということ。

一方で世界の選手たちは練習と試合がリンクしているため、練習の延長として試合で直感脳を使いながらプレーできている。

故に、プロや上のレベルを目指している選手は常日頃から「この練習は全て試合に繋がっているのか」ということを考えながらトレーニングすることが大事。これは選手だけに限ったことではなく指導者にも同じことが言える。

3. 練習時間と試合時間


実践の試合では、90分。延長戦になったとしても最長で120分。つまりこの時間内に集中することが大事。

しかし日本では3時間、4時間と試合よりも長い時間練習するケースが多々見られる。これは技術アップには繋がるかもしれないが、試合でそれが使えるかは全くの別の話になってくる。

3時間、4時間練習や練習試合をこなすことはできるかもしれないが、こんな長時間集中できる人は少ない。大事なのは試合時間と同じ90分間を集中できるようにすること。故に練習時間と試合時間を近くして90分に集中できる習慣を付けておく必要がある。