プレミアリーグ

セリエAとプレミアリーグのビッグクラブを財務レベルで比較し、20-21シーズンの予算を分析すると、以下のような結果が浮かび上がってくる。

この分析では、セリエAとプレミアリーグの上位6クラブの純売上高(選手交換を除く)を考慮した。セリエAではユベントス、ナポリ、ローマ、インテル、ラツィオ、ミラン、プレミアリーグでは、トッテナム、リバプール、チェルシー、アーセナル、マンチェスターシティ、マンチェスターユナイテッドがこれに該当する。

経済的なレベルでは、パンデミックがあった年でさえも、プレミアリーグではイタリアのチームの2倍お金が動いている。さらに損失額もセリエAに比べて少ない。


純売上高推移(19-20→20-21)

イブラヒモビッチ

 

それではまず、純売上高の推移をみていこう。(単位は全てユーロ)

セリエABIG6

 

ユベントス 4億140万→4億3750万

インテル 3億140万→3億5640万

ミラン 1億6410万→2億3260万

ローマ 1億4120万→1億9480万

ナポリ 1億7640万→1億7450万

ラツィオ 1億430万→1億6470万

合計 12億8880万→15億6040万


イタリアの6チーム合計では、20-21シーズンに15億6000万ユーロの収入(選手移籍金は控除)を記録し、19-20シーズンと比較して2億7100万ユーロ多く収入を得ている。

コロナウィルスが猛威を振るった2年間で(リーグ戦が6月30日を超えて終了したため、2020/21年の予算において2019/20年の収入の一部が反映されていることもあり)、各チームの売上高は28億5000万ユーロを記録している。

プレミアBIG6

 

マンチェスターC 5億7890万→6億8960万

マンチェスターU 6億1600万→5億9800万

リバプール 5億9280万→5億8980万

チェルシー 4億9300万→5億2620万

トッテナム 4億8690万→4億3790万

アーセナル 4億1690万→3億9720万

合計 31億8460万→32億3870万


セリエAのクラブの純売上高を合計しても、1シーズンのプレミアのクラブの合計額には届かない。
実際、20-21シーズンには、イングランドの6チームが32億3000万ユーロの売上高を記録し(こちらも移籍金額を控除)、2020年の31億8000万ユーロと比較してわずかに増加した。

この点ではマンチェスター・シティが圧倒的で、単独で6億9000万ユーロ、イタリアではユベントスとインテルの2強を合わせても7億9000万ユーロの売上高とシティを1億ユーロ上回る程度だ。


赤字・黒字推移(19-20→20-21)

ハリー・ケイン

 

続いて、赤字・黒字推移をみていこう。赤字は()で表している。(単位は全てユーロ)

セリエABIG6

 

ラツィオ ▲1590万→▲2420万

ナポリ ▲1900万→▲5890万

ミラン ▲1億9460万→▲9640万

ローマ ▲2億400万→▲1億8530万

ユベントス ▲8970万→▲2億990万

インテル ▲1億240万→▲2億4560万

合計 ▲6億2560万→▲8億2040万


セリエAのクラブでは、貸借対照表上の数字を見ても、プレミアのクラブより悪い数字が挙げられている。
イタリア全体では、19-20シーズンの赤字(▲)6億2560万ユーロに対して、20-21シーズンは▲8億2040万ユーロの損失を計上した。

コロナ禍とはいえ、▲1億9460万ユーロから▲9640万ユーロに赤字を半減させたミランのように、大幅に赤字を減らすことができたところもあれば、ユベントスやインテルのようにシーズンごとに赤字がさらに1億ユーロ以上膨らんでいるところもある。

トータルで見ると、この2シーズンでイタリアの6クラブは14億400万ユーロの赤字となっている。

プレミアBIG6

 

マンチェスターC ▲1億5250万→290万

リバプール ▲4770万→▲1150万

トッテナム ▲7730万→▲1億140万

マンチェスターU ▲2810万→▲1億1160万

アーセナル ▲5780万→▲1億2980万

チェルシー 3930万→▲1億8570万

合計 ▲3億2420万→▲5億3720万


プレミアリーグでも、貸借対照表上の赤字は少なくない。

ビッグ6のうち4チームは、1億ユーロ以上の赤字で昨年度を終え、チェルシーは20-21シーズンに▲1億8570万ユーロの赤字を計上したほどだ。

しかし、リバプール(▲1150万ユーロ)や、19-20シーズンに▲1億5250万ユーロを計上したが、20-21シーズンには290万ユーロの利益まで記録したマンチェスター・シティなど、コロナウィルスによるダメージを軽減できているクラブも存在する。

プレミア6クラブの合計では、19-20シーズンの▲3億2420万ユーロに対し、20-21シーズンには▲5億3720万ユーロを記録しており、このプレミアの2シーズンの全体の赤字は8億6140万ユーロと、20-21シーズンのみのセリエAのそれを少し上回っている程度だ。