ノースウェストダービーはサッカー界で最も盛り上がるダービーの内の一つだ。近年では互いに強豪クラブということもあり、スポーツとしてのライバル関係が強いが、ルーツを辿れば、歴史的にも多少ある。

産業革命におけるリヴァプールとマンチェスターの関係

産業革命前は貿易港としてリヴァプールの方が栄えていたが、産業革命後の発展の中心はマンチェスター。工業地帯を作るためにリヴァプールで得た資金をマンチェスターに回したことで瞬く間に世界の工場に。マンチェスターで作られたものがリヴァプールを結ぶ運河を通して輸出されることになった。

スポーツとしてのライバル関係

都市としては、リヴァプールが得た資金でマンチェスターが潤ったという見方もできる。ただしスポーツとしてのライバル関係はこれに起因するものではなかった。

1964年にフィル・チズナルという選手がマンチェスターユナイテッド-リヴァプール間での最後の移籍となり、それ以来両クラブの直接的な移籍は一度もない。

このときから両クラブはタイトル互いにリーグ内でタイトルを獲り合う関係に。この時は若干リバプール優勢だった。

美化されるものではないが、根強いライバル関係は過激なファンによって表現される。リヴァプールファンがマンチェスターユナイテッドのチームバスを催涙ガスで襲撃。後にファーガソンが就任するわけだが、こういったこともあり「(リヴァプールを)その場から引きずり降ろしてやる」と宣言したことは有名だ。

そしてファーガソンはファギーチルドレンやロナウド、ルーニー、ベッカム、ロイキーンユナイテッドの黄金時代を築き、13のリーグタイトルを獲得。一方のリバプールはおよそ30年ぶりとなる2020年にクロップがプレミア王者に導くまで長いトンネルを潜ることになった。

現在スポーツ面での成績を見れば立場は逆転していると見て取れるかもしれない。近年ではマンチェスターシティといった歴史的に見て新しい勢力が猛威を振るっているが、レッズとレッドデビルズの勝負は往年のプレミアファンからすれば、唯一無二なものだろう。

現在、リヴァプールはユナイテッドに対して公式戦8試合連続負けなし。昨シーズン前半戦はサラーのハットトリックで合計0-5のスリラーに。後半戦もユナイテッドはリヴァプールの絶好調な攻撃陣に圧倒され4-0で黒星を喫した。

そして22/23シーズン決して好スタートを切ったとは言えない両者だが、だからといってこの対戦カードに注目しない理由にはならない。キックオフは8月23日の早朝4時00(JST)