ブックメーカーをスポンサーにすることを禁じられる2021-2022シーズンの開幕を前に、ラ・リーガでは42クラブが合計900件のスポンサー契約を結んでいる。9つのクラブが新たなメインスポンサーと契約を結び、8つのクラブが更新した。


ラ・リーガは、史上初と言っても過言ではない程異常な新シーズン開幕を迎える。「満席にすることができない」「15年ぶりにメッシがいない」「CVCとの契約交渉が尾を引いている」など。また、ブックメーカーをスポンサーにすることが禁止されたため、スポンサーがガラリと変わる。最新のデータがないため、ラ・リーガの会長であるハビエル・テバス氏はその影響を9000万ユーロ(約115億8000万円)と推測している。一部のクラブはすでに電子機器、食品、フィンテック、暗号通貨などの企業を代わりのスポンサーにすることに成功しているが、ほとんどのケースでメインスポンサーの価値の大幅な削減(50%ほど)を想定して行われた。

スペインで5,000件以上のスポンサー契約を指標化している2Playbookのマーケットインテリジェンス部門「2Playbook Intelligence」から抽出したデータによると、2021-2022シーズンは、ラ・リーガの42クラブが810件のスポンサー契約を結んで開幕する。

スポンサーの種類は、グローバルスポンサー、メインスポンサー、オフィシャルスポンサー、ローカルスポンサー、サプライヤーに分類される。これら以外のパートナーシップを加えれば、シーズン開始前に900件近い契約が結ばれていることになる。このタイプの企業は通常、地元での影響力を求めてクラブと繋がった都市や地域のビジネスに限られることが多い。

2021-2022シーズンは、多分野に渡ったブランドがラ・リーガ初上陸となる。バレンシアCF(Socios.com)、CDレガネス(Urbas)、セビージャFC(Naga)、レアル・ベティス(Finetwork)、RCDエスパニョール(Riviera Maya)、ブルゴスCF(Reale)、ジローナFC(Gosbi)、ADアルコルコン(Eneryeti)、マラガCF(Diputación de Málaga)の9つのクラブが新たにシャツのフロントスポンサーをカッコ内の企業に変更した。これらの9クラブの内、ブックメーカーをパートナーとしていたのは4クラブだ。

スペイン2部リーグでは、SDウエスカ、SDアモレビエタ、レアル・オビエドの4クラブが、1部リーグでは、デポルティボ・アラベス、グラナダCF、レアル・ソシエダ、RCDマジョルカ、レバンテUD、カディスCFの6クラブが未だにメインスポンサーを獲得できていない状態だ。FCバルセロナ、アトレティコ・マドリード、ラージョ・バジェカーノ、CAオサスナ、エルチェCF、レアル・サラゴサ、セルタ・デ・ビーゴの7チームは契約更新に至った。

その中でセルタ・デ・ビーゴだけが、昔からのパートナーであるEstrella Galicia社との長期契約更新に成功した。その他クラブは1シーズン限りの契約しか得られなかったため、2022年は少し特別な状況になるだろう。合意が得られなければ、レアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリードのビッグ3は、新しいメインスポンサーを求めて市場に出て行くことになる。この3クラブは2021年の夏以降にメインスポンサー獲得の旅に出るだろう。パンデミックによるブランドの削減により需要が過剰になっている。

そこで登場するのが、暗号通貨などの新しい分野だ。Socios.comは、メインスポンサーとして初の1年契約をバレンシアと結んだ。クラブは、ファン・トークンの販売による収入の一部を相殺する代わりに、50%以上の減額を受け入れた。バレンシアは、ベティスやセビージャと同様に、メインスポンサーを失っただけでなく、Libertexなどの重要なパートナーも失った。一方でアンダルシアの2クラブ(ベティス、セビージャ)の場合は、2020-2021シーズン終盤に何とかセビージャはAliexpress、ベティスはBitciと新しいパートナーとして契約することができた。後者は更新されておらず、2023年までは商社のLegacyFXに取って代わられる予定だ。


ラ・リーガの2021-2022シーズンにおいてどのスポーツブランドが一番契約しているのか

 

*Joma社(スペイン)、Kappa社(イタリア)、Macron社(イタリア)、Kelme社(スペイン)

これらのブランドだけでなく、2021-2022シーズン開幕時に販売されたスポンサーシップは昨年よりも少ない。また、EverF社は2年間の契約期間を終えてセビージャのパンツから姿を消し、Beko社はバルサのトレーニングウェアに限定され、NMR社はレアル・オビエドに大きな損失を与え、Zotapay社はアラベスのユニフォームの背中から消えることになった。

最終的に、テクニカルスポンサーに関しても、大きな変化があった1年だった。ここ数シーズンはアディダスがユニフォームのスポンサーランキングで単独トップだったが、2021-2022シーズンでは、ナイキとFutbol Emotionのペアで対抗することになる。すでにナイキ・フットボールエモーションのペアは、3つのクラブ(マジョルカ、ウエスカ、エルチェ)が所持していた他社との契約を破棄した上で合意に繋げている。

ナイキは現在、ラ・リーガの9チームと契約を結んでいるが、アディダスは11チームでその上を行っている。また、2020-2021シーズンに6つの契約を結んで3位に浮上していたヒュンメルは、現在UDラス・パルマスとCDテネリフェの2クラブしか契約を持っていない。一方で、カディスCFを買収し、さらに昇格したレアル・ソシエダBを加えたマクロンのように、勢力を伸ばす企業もある。