練習施設やスタジアムなどの改修に加え、マジョルカは「アメリカ」と「アジア」という市場でブランドの国際化を目指す。さらに、デジタル化プロジェクトにも資金を回しクラブの成長を図る。


マジョルカは、ラ・リーガとCVC提携を短・中期的なビジネスのポイントと考えており、支援金1200万ユーロ(約15億8000万円)の一部を使い、ブランドを世界レベルに拡大していく。クラブのコーポレートGMであるアルフォンソ・ディアス氏は、「アジアとアメリカを中心にクラブの国際化に取り組んでいきます」と語った。

ディアス氏は、1部昇格とスタジアムへの入場制限解除によって、ブランドがスポンサーとして戻ってくることに加え、地元との結びつきがより強くなると確信している。「マジョルカには多くの観光客が訪れるため、国際的なクラブとなっていきます。私たちの仕事は、それぞれのカテゴリーで主要なスポンサーを配置することです」と同氏は付け加えた。

実際ここ数カ月の間に、ナイキだけでなく、アメリカのペイパル社や自転車メーカーのスペシャライズド社などとの提携が実現している。「ナイキとは、『イノベーション』や『困難を乗り越える精神』といった価値観を共有しています。スペシャライズド社との契約は、スポーツ、健康、レジャーなどの島の象徴とクラブを結びつけてくれます」。

スペイン政府がブックメーカーとの契約を取り締まり、Betfred社が撤退したことを受けて、今シーズンマジョルカは、日本の企業である株式会社タイカのロゴをユニフォームの胸部につけて戦うことになった。この夏、アジア進出戦略に貢献する日本人の久保建英と韓国人のイ・ガンイン(李康仁)と契約した。

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この点について、クラブの会長であるアメリカ人投資家のアンディ・コールバーグ氏は先日、自治体が所有するスタジアム「ヴィジット・マジョルカ・エスタディ」と、クラブの練習施設「ソン・ビビローニ」の改修を実施する予定であると説明した。

フォーブス誌の取材に応じたコールバーグ氏は、クラブの戦略では、選手獲得、若手の育成、ファンの体験という3つの分野で最高レベルを目指すことが必要だと述べた。だからこそ、スタジアム改修に手をつけたいと考えたのだ。

さらにカンテラにも改善が見られる。「私たちはアカデミーの組織構造を改善したいと思っています」とディアス氏は語った。クラブには、ユース選手用の住居を建設するプロジェクトがあるが、マジョルカ領事は都市計画総則(PGOU)に関する見解の相違を理由に、このプロジェクトにブレーキをかけている。

ラ・リーガが各クラブに求める「イノベーション」に関して、マジョルカはクラブのデジタル化プロジェクトを立ち上げる予定。また、CVCの資金注入もデジタル化のために使用される。

しかし、コールバーグ氏はラ・リーガとCVCの契約について、「他のクラブが6%から12%の金利で多額の資金を借りているのに対し、我々は2%なので、マジョルカにとっては魅力的ではないでしょう」と認めた。

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10年間で「倒産から国際化」を実現したクラブ

マジョルカは2010年に破産を経験しているが、アメリカの株主は現在の財務状況に満足している。約3000万ユーロ(約39億5000万円)の破産債務は完済され、クラブの負債総額は700万ユーロ(約9億2200万円)となった。

アメリカ人実業家のロバート・サーバー氏の投資グループは、2016年に参入して以来、4300万ユーロ(約56億6100万円)を使用しており、そのうち2500万ユーロ(約32億9100万円)以上は支払い義務を果たすためのものだった。マジョルカは、2019-2020シーズンに1700万ユーロ(約22億3800万円)という記録的な利益を上げた。

2020-2021シーズンの具体的な決算内容は不明だが、同クラブは、コロナウイルスで収入が減少したにも関わらず、チーム戦力維持を決行したことから、赤字で決算を迎えることが予想されていた。しかし、700万ユーロ(約9億2200万円)を超える赤字は、アメリカ人実業家のロバート・サーバー氏が増資を主導し900万ユーロ(約11億8500万円)を投入したことでカバーできた。

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