カンプノウ

バルセロナで数々のタイトルを獲得し、スペイン代表としても無敵艦隊の主力として守備を支えたジェラール・ピケ。22-23年のシーズン途中に急遽引退を表明し、カンプノウでの最終戦は6日のアルメリア戦、選手としての最終戦は9日のオサスナ戦となった。

サッカー選手として一流の成績を残したピケだが、実はサッカー選手として活動している間にも様々な事業に手を伸ばしていた。例えば、テニス、eスポーツ、放映権などだ。またサッカーにおいても、FCアンドラ(現在スペイン2部、買収当時は3部)を買収するなど実業家として活躍している。

eスポーツ関連の事業では、スペインの有名配信者イバイ・ラノスと手を組むことが多い。同氏の生配信では、同接が300万人を超えたこともあり、その人気度が伺える。

引退後ピケは、かねてより交友のあるイバイ・ラノスのTwitchのチャンネルで話し合いを行った。題材はサッカーの現状と今後についてだった。

ピケは、現在のサッカーを変えるような、非常に根本的な改革を提案すると断言。「サッカーはもっと開かれたものでなければならない」と主張した。

主に注目したのは、プレー時間、延長戦、PK戦などについてだ。

まずはプレー時間について。ピケは、現在の90分は長すぎると考えているようだ。「若い観客は試合中にスマホをみて、娯楽を切断してしまう。もっとエンターテインメント性の高いルールを探そう。それが何かを現在も考えているが、一つの商品としてのサッカーはそもそも時代遅れだ」と話した。

また、延長戦に関しては、数分ごとに各チームから1人ずつ選手を退場させることや、ゴールデンゴールの復活を提案した。

ゴールデンゴールとは、1990年代から2000年代にかけて用いられたルール。延長戦で1点が入った時点で決めたチームの勝利となるものである。

類似でシルバールールと呼ばれるものがあったが、これは例えば延長前半で1点が入ったとしてもそこで打ち切らず、延長前半終了までは戦うというルールである。延長前半で点差が生まれた場合は延長後半を行わず、延長前半で引き続き同点だった場合は延長後半を行う。

もちろんピケもいきなり大舞台で試すことは考えておらず、アンダー世代などから徐々に取り入れていってはどうだろうかと提案している。

PK戦についてもピケ本人は否定的だ。「例えば、ワールドカップ決勝をPKで決めるのは本当にろくでなしだ。最後は11メートルの撃ち合い。もちろんワクワクするもので、自分も蹴ったことがあるし、なんなら好きだ。でも、人生で一回もPKを蹴ったことのないような選手が蹴ることになる可能性もある。この11メートルの攻防で国の命運を賭けるなんて…。もちろん練習することはできるが、練習では『外したら敗退だ』という感覚は得られない」と説明した。

35歳のピケはサッカー選手としては引退したものの、サッカーについて深く考えていることが分かる。実業家として今後サッカーに関わることも増えてくるかもしれない。