女子サッカーは2021年の移籍市場で移籍金200万ドル(約2億2900万円)を超えた。具体的には、選手への移籍金は210万ドル(約2億4100万円)で、コロナウィルスの影響を大きく受けた2020年に比べて73%増となった。

しかし、この数字は、FIFAが毎年発表している「Global Transfer Report」のデータによると、その投資の60%近くが、たった5人の選手に費やされたものである。

女子サッカーはFIFAの世界移籍システム(TMS)に含まれるようになってから5年も経っていない。その間にパンデミックが発生したことにより、実際の正常な数字が掴めず、クラブに影響を及ぼしている。

関係者は、パンデミックがなければ「移籍の数はさらに増えていただろう」と指摘する一方で、「女子サッカーの移籍市場には明らかな上昇傾向がある」と述べている。移籍件数は1,304件で、前年同期比26%増となった。

実際には、パンデミックによって男子サッカーほど移籍市場内でインフレが起こっているわけではないが、選手に支払われている額を比較すれば、女子サッカー内でも市場が大きくなってきているのが分かる。

報告書によると、異なるリーグに選手を移籍させた国の数は、FIFAを構成する国の半分以上(総数211のうち112)を占めるようになったにもかかわらず、クラブはなかなか他クラブから選手を獲得しようとしない。つまりフリー移籍を狙っているのだ。実際に全体の87.3%はフリー移籍となっている。

女子サッカー界の移籍事情

海外移籍の87.3%は契約していない選手だった。しかし、同報告書では、「移籍」した選手の割合(5.1%)が「レンタル」した選手の割合(3.1%)を初めて上回ったことを指摘している。

また、他国からの移籍で選手を獲得するクラブの数も前年同期比19.3%増の414クラブに上った。 しかし、移籍のプロフィールを見ると、2021年に移籍した1,139人のうち43.1%がアマチュアサッカー出身、つまりプロ契約をしていない選手だった。

また、女子サッカー界で改善の余地があるのは、契約期間の短さだ。昨年の契約では、4年以上の契約は0.5%に過ぎず、3年以上4年未満の契約は2.8%であった。大多数は長くても1年までで62.7%となっている。