アトレティコ・マドリードは、選手給与を増やしたが、減価償却費はわずかに減少させた。移籍による収入無しで売上高は3億3900万ユーロ(約434億3900万円)となった。


アトレティコ・マドリードは、コロナウイルスの影響を2番目に大きく受けたラ・リーガのクラブである。同クラブは、1億1160万ユーロ(約143億円)の記録的な赤字で2020-2021年を締めくくったが、その前年が170万ユーロ(約2億1800万円)の赤字だったことを考えると対照的だ。選手の残留と移籍市場の低迷が影響し、結果的にこの打撃から身を守るために1億2000万ユーロ(約153億7600万円)を注入するアレス・ファンドの参入を加速させた。

アトレティコ・マドリードは、国際的な活動で大きな損失を出し続けている。実際、スペイン国内の事業に帰属する赤字額は8600万ユーロ(約110億2000万円)で、残りは同じく危機の影響を受けたメキシコとカナダにあるフランチャイズに対応するものだ。

パンデミックの影響で閉鎖的な環境でプレーしていたにもかかわらず、売上高は1.6%減の3億3929万ユーロ(約434億7600万円)に留まった。クラブの年次会計報告書によると、会員およびシーズンチケットホルダーからの収入が10分の1に減少(413万ユーロ=約5億2900万円)したほか、興行収入、ツアー収入、UEFAへの支払いを含むスポーツ部門の収入も減少し、これら3項目で14.3%減の8585万ユーロ(約110億円)となっている。

一方、前シーズンの赤字の一部を今年度中に繰り越したことや、新たなスポンサーシップの締結により、テレビ放映権の収入は23.7%増の1億5320万ユーロ(約196億3100万円)、スポンサーシップ、ショップ、その他のコマーシャル・ビジネスの収入は23.3%増の9590万ユーロ(約122億8800万円)となった。

さらに詳しく見ると、チャンピオンズリーグへの参加により、クラブがUEFAから得た収入は8560万ユーロ(約109億6800万円)で、前年比0.8%増にとどまっている。また、スタジアムでの興行収入は880万ユーロ(約11億2800万円)から11万2751ユーロ(約1444万7700円)へと98%も急減し、ツアーや夏季大会での収入が、前年の630万ユーロ(約8億円)から2020-2021年にはわずか3937ユーロ(約50万4500円)しか残らなかった。

商業分野での改善はスポンサーシップによるもので、2019-2020年に比べて10%増の7500万ユーロ(約96億1000万円)をもたらし、マーケティングだけで16%増の2750万ユーロ(約35億2400万円)を計上しました。また、テレビなどに流れる広告事業は41%増の5000万ユーロ(約64億円)超と大幅に改善し、ポスターなどの広告事業は5%増の410万ユーロ(約5億2500万円)とわずかに増加した。

アトレティコは、パンデミックの中でもブランドの関心を高めることに成功したクラブの一つだ。その証拠に、Plus500とヒュンダイの2つのメインスポンサーを今シーズンも継続し、2024年までトレーニングウェアを販売しているCapital Energyとの提携を強化している。

小売・マーチャンダイジング分野についてアトレティコは、コロナウイルスによって実店舗での収益が18%減少したと主張している。しかし、アトレティコは実店舗の閉鎖をオンライン販売で補い、eコマース事業は140%の成長を遂げた。最後に、ユニフォームとマーチャンダイジングからの収益は530万ユーロ(約6億7900万円)で前年比10%減だった。

他には選手放出により前年比51%増の2350万ユーロ(約30億1100万円)となった。従来、アトレティコは移籍によるキャピタルゲインで予算を見立てていたが、オファーが少ないことや、才能ある人材を保持したいという願望により、選手売却による純利益が減少している。2019-2020年シーズンと比べて4分の1に減少し、ビセンテ・カルデロン(旧本拠地)の売却を含む1億2844万ユーロ(約164億5800万円)から、わずか2848万ユーロ(約36億4900万円)になった。

また、それに加えて選手への投資も増え、2020-2021年の給与は2億6630万ユーロ(約341億2300万円)と、選手との間で一時的に給与を下げる合意があった前年よりも17.7%増加している。さらに、ラ・リーガ優勝によるボーナス2000万ユーロ(約25億6300万円)強が加わる。