カンプノウ

この記事で分かること

・ネイマールの売却によって狂ったバルセロナの最悪な経営状況

・レアル・マドリードを大きく上回る支出

・放映権とBLMの売却でマイナスを補いたい経営陣


現地時間6月16日、FCバルセロナはその歴史において、おそらく最も重要な集会に臨んだ。エスパイ・バルサの工事費用として15億ユーロの融資を求める許可を得るために召集されたものと同レベルだろうか。

今回の集会は主に負債の話ではなく、「純資産がマイナス(債務超過)になった状況を解決すること」と「今夏の選手獲得に余裕を持たせること」という喫緊の課題を解決するために、クラブの主要資産や長期保有権を売却するかどうかという議題だった。

ラポルタ

「必要最低額は6億ユーロ。放映権とBLMの売却で手に入れるつもりだ」。これは、バルサライセンス&マーチャンダイジング(BLM)の最大49.9%とテレビ放映権の最大25%を売却する承認を得た今回の臨時総会でのジョアン・ラポルタ会長のスピーチの一節である。BLM売却に関しては、賛成558名、反対68名、棄権13名。一方で放映権売却に関しては、賛成が494名だった。このセッションには、830人の会員が参加した。

クラブのエドゥアルド・ロメウ経済担当副社長は、「このようなことをするのは好ましくない」としながらも、「これらは、バランスを取るためのものだ」と断言した。実際、彼らが最も早く実行しようとするのは、放映権の売却。「それは我々が21-22年のマイナスを補うために最も必要としているものである」。

ロメウは、この売却の実行の速さは、「ビジネスに精通している投資家を必要としない金融オペレーションであることが理由だ」と主張している。こうすることで、今年の利益を守ることができ、数週間から数ヶ月で最大15%の追加的な放映権およびBLMの売却を完了し、21-22年末に5億4000万ユーロに達する負の資本の状況を解決することができるだろう。

また、毎年のリターンの程度も明らかにされていないが、ロメウは年間約4150万ユーロが失われることを示唆する。「他の方法で補填するつもりだ。他のソースからの収入が大きくなれば、テレビ放映権からの収入の割合は低くなる」。この点についてロメウはこう語った。

ラポルタは、10年間のテレビ放映権の100%を10億ユーロで提供するというオファーには、投資家に7億ユーロ近いリターンを意味するため、すでに「ノー」と言ったという。ロメウが描いたシナリオでは、権利の価値が維持されれば、ファンドは10年から12年で投資額を回収できることになる。

このような臨時総会が開かれるほど切羽詰まっているバルセロナだが、ではそもそもこの複雑な状況はどのようにして生まれたのか、責任の何割がジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長の取締役会に帰せられるのか、後継者のジョアン・ラポルタはどの程度引き受けるべきなのかなど多くのサッカーファンが抱える疑問点は多数ある。

ネイマールの売却とバルトメウ政権の愚策

バルトメウ

まず、多大な損失があるのはバルトメウ政権が原因であることは確かだが、簡単に言うと、同政権は組織を限界まで痛めつけ、コロナウイルスの影響で破たんし、経常利益は4分の1以上減少した。19-20年は1億3300万ユーロの税引前損失で締められたが、これはコロナウイルスがなければ起こらなかったとバルトメウ前会長は考えている。

しかし、19-20シーズンの経営は、明らかにクラブの賃金の調整を目的とした動きや的確なリストラがある一方で、将来ためのコストを前払いしたことで損失を拡大させ、選手と契約するための予算をさらに縮小せざるを得なくなるという愚策が行われるなど混迷を極めている。

支出面でバルセロナがレアル・マドリードを上回る


なぜ、その年も翌年も今年も、最大のライバルであるレアル・マドリードは赤字を免れることができたのに、バルセロナはできなかったのか。

レアル・マドリードは、かねてよりアカデミーよりも選手獲得に重点を置いたプランニングを行なっていたため、支出の何パーセントを選手獲得に費やすか、何パーセントをスポーツ選手の給与支払いに振り分けるかなどのバランスが綿密に保たれていた。一方で、カンテラに拘っていたバルセロナは、基本的に大きなお金を移籍市場で使ったことがなかったため、2017年夏にネイマールをパリ・サンジェルマン(PSG)へ売却したタイミングから均衡が崩れることとなった。この事実こそがバルセロナが赤字を免れることができなかった原因の一つだ。

ネイマール

クラブはネイマール売却によって史上最高額の移籍金(2億2200万ユーロ)を手に入れたが、問題はもはや主力選手を失うことではなかった。石油王によって資産が豊富なPSGに対するバルセロナの力は、もはやそれほど優位ではなく、違約金をどれほど高く設定しても意味がなかった。フランスリーグ1やプレミアリーグは問題なく支払うことができる。

バルセロナはその売却で得た資金を新契約(コウチーニョやデンベレ)や契約更新に次々と浪費し、1年で2億ユーロ以上賃金負担が増えた。具体的には、16-17年は4億3200万ユーロだったのが、17-18年には6億3900万ユーロに増えたのだ。減価償却費は2倍に、給与は42%増と、あらゆる面で増加している。

グラフが示している通り、レアル・マドリードは基本的にバルセロナより多くの資金を投入していたが、17-18年の時点でバルセロナは1億3800万ユーロの差でレアル・マドリードを一気に追い抜き、18-19年には、その差が1億8500万ユーロに跳ね上がった。その後の2年間は9000万ユーロ前後となっているが、チャンピオンズリーグ優勝のボーナスをレアル・マドリードが受け取っていたシーズンも多かったにもかかわらず、バルセロナの方が支出が多くなっているのは問題だ。

各クラブが危機から脱する方法が異なるのは、この差だけが原因ではない。歴史的に、レアル・マドリードの理事会は、8月までに保証される一定の収入、あるいは試合日や商業などの観点から慎重に見積もられた収入のみを対象として活動してきた。もちろんバルセロナも、ネイマール放出後、ラ・リーガによって設定されるルールを極限まで守るしかなかった。しかし、楽観的な収入予測が達成されなかったため、現在では約1億5000万ユーロの穴が開いている。

ピャニッチ

バルトメウ政権の場合、ネイマールの高額なキャピタルゲインを利用して、常に実績以上の移籍金を予算化していた。こうして、経常収入では支えきれない給料を維持し、6月30日の決算まで帳尻合わせを急がせたのである。18-19年の453万ユーロの利益は、3500万ユーロを残したバレンシアCFとのGKトレード(ネトとシレッセン)によって、同額を将来の費用として計上することで節約することができた。そして19-20年には、ミラレム・ピャニッチの減価償却費6000万ユーロを先送りにする代わりに、アルトゥールの退団で7200万ユーロの収入を図るという動きが行われた。

これにより、ラポルタが新会長として就任した時、すでに実行された契約の減価償却費が合計5億9700万ユーロになった。一方でレアル・マドリードは、5億3400万ユーロだった。

ブスケツ

違いは、バルセロナの場合は2020年から2022年という短期間で集中的に負担することになったということ。しかし、何よりも重要な点は給与にあった。4人のキャプテン(レオ・メッシ、セルヒオ・ブスケツ、ジェラール・ピケ、ジョルディ・アルバ)にキャリア終了時のボーナスが支給されたのだが、現役の晩年でありパフォーマンスが落ちる時期に賃金に過度の負担がかかったのである。