会計

サッカーのスポーツ記事には度々、各クラブの会計状況に関する情報が出てくる。特に頻繁にでてくるのはスタジアムのチケット収入、マッチデー収入(試合日のスタジアム内での収入)、放映権収入に加え、選手のコストだ。これらの中でも会計において選手の計上に関しては少し複雑な形で計上される。

選手は固定資産?


一般的な企業に我々が入社したところで会社は
会計上我々を資産としては扱わない。決算時には人件費として賃金などが計上される。しかしサッカーのクラブにおいては、ご存じの通り一般人と違って選手一人一人に給料に加えて価値がある。つまりクラブにとっては選手は資産になるのだ。

しかしお金などの資産はいつまで経っても価値が変動しない(ここでは通貨変動は考慮しない)が備品のように月日と共に価値が薄れていくものもある。原則として会計では資産として計上されている備品などが毎年減価償却費という費用と共に価値が減らされていく。

実は固定資産として考慮される選手も会計上では簡単に言えば備品と同じように処理されている。ただし、大事なのは資産計上される選手は他クラブからの移籍によって加入した選手のみ。つまりユースからの生え抜き選手やフリー移籍の選手はこの会計処理は適用されない。

例えば、Aという選手が他チームから4000万ユーロで加入すればAという資産(厳密に言えば選手登録権という資産)が4000万ユーロ計上される。しかし契約年数が4年だとすれば4年経てばAという資産は会計上価値がなくなる。

ただし会計は毎年行わないといけないものであるため1年毎にAの価値を下げていく。この時に使われるのが減価償却費。つまりAのケースの場合だと毎年1000万ユーロがAの減価償却費として計上される。

最近出された会計関係の記事にも減価償却費というワードがよくつかわれているので注目してみるのもいいかもしれない。


選手登録権という資産と市場価値


また考慮してもらいたいのは、この選手登録権という資産が表す額は、市場価値とはまた別のものだということ。選手登録権が高いからと言って市場価値も高くなるというわけでもない。

ただし契約が満了に近づくにつれてそれだけ減価償却されて会計上のクラブの資産としての価値も下がっているため、市場価値も自ずと下がってくる。故に一時における市場価値は必ずしも選手の上手さや絶対的な価値を表すものではない。