プレミアリーグ

『欧州5大リーグ』。欧州の中でも特にレベルの高い、プレミアリーグ、ラ・リーガ、セリエA、ブンデスリーガ、フランスリーグ1を合わせて表現する際に用いられる言い方である。

これらのリーグは、『資金』『クラブのレベル』という二つの点において好循環をもたらしている。具体的に言えば、「資金があるから強い選手を獲得できる→クラブが強くなるとスポンサーや興行収入が増える→資金が入る」といった流れだ。

パリサンジェルマン、マンチェスター・シティ、チェルシーといった、いわゆる「金満クラブ」は例外ではあるが、バイエルン・ミュンヘン、レアル・マドリード、ユベントスなどは、まさにこの好循環に上手く乗ることができたクラブと言っても過言ではないだろう。

ところで、皆さんご存じだと思うが、この欧州5大リーグの中でも明確に順位を付けることができる。この中でもイングランドのプレミアリーグは飛び抜けて経営面やスポーツ面で優れた数字を残している。

それはなぜなのか。プレミアリーグ創設の歴史や放映権などの経営面から紐解いていこう。

イングランドサッカー界の歴史

プレミアリーグ

近代サッカーは、1863年にイングランドで誕生。具体的には1863年10月26日の「The Football Association」の設立が起源だと言われている。この際、ラグビーなど過度に激しいスポーツに初めて正式なルールが制定された。

その後、初めてのリーグが誕生したのは1888年だった。当時、「フットボールリーグ」と呼ばれていたこのリーグは、娯楽ではなく産業やビジネスの一部として扱われていたという。

プレミアリーグ誕生


現在のプレミアリーグが誕生したのは1992年。なんとフットボールリーグ創設から100年以上も後の出来事だった。同リーグに所属するクラブは、テレビ放映権やスポンサーを共同で獲得するために、FAとの提携を解消し、独自の組織を設立することに。
理由はより多くの収入を得て、CLやELで他国のクラブとより良い競争ができるようにするためだ。

結局全てのクラブがこのプロジェクトに賛同し、92-93年にプレミアリーグ初のシーズンが始まった。

記念すべきプレミアリーグ初ゴールは、シェフィールド・ユナイテッドがマンチェスター・ユナイテッドに2-1で勝利した際に決めたブライアン・ディーンのゴール。当時のユナイテッドは、この試合に敗れてはいるものの、超強豪クラブとして92-93シーズンからの5シーズンで4回優勝している。

1992年以降、プレミアリーグでは7つのクラブが優勝経験を持つ。マンチェスター・ユナイテッド(13回)、マンチェスター・シティ、チェルシー(各5回ずつ)、アーセナル(3回)、リバプール、ブラックバーン・ローバーズ、レスター(各1回ずつ)の7チームだ。

この中でもブラックバーン・ローバーズとレスターの優勝には誰もが驚いただろう。94-95年に優勝した前者には、元イングランド代表のアラン・シアラーが所属。一方で、レスターにはカンテやヴァーディ、エンディディ、マフレズ、シュマイケル、そして岡崎慎司が在籍していた。

先述の通り、これは1992年以降の記録であるため、それ以前も含めるとユナイテッドは20回、リバプールは19回、アーセナルは10回の優勝を誇っている。逆にチェルシーとマンチェスター・シティはそれぞれ1回、2回しか優勝しておらず、いかに億万長者のオーナーの力が大きいかがわかる。

ちなみに、同年以降の欧州5大リーグで優勝経験のあるクラブ数を見てみると、フランスが10クラブ、ドイツが6クラブ、スペインとイタリアが5クラブずつとなっている。

プレミアリーグの経済規模

ここまでプレミアリーグの誕生や各クラブの軌跡などを簡単に触れてきたが、ここからはこの記事の本題である「なぜプレミアリーグがNo1なのか」について説明していこう。

プレミアリーグには、最高の選手・監督が集まり、スタジアムに多くのファンが詰めかける。最も盛り上がるリーグの一つであり、選手や監督などの報酬も最高レベルだという。

それはなぜなのか。答えは『テレビ放映権』にある。

プレミアリーグの放映権事情

プレミアリーグの最初の放映契約は民間テレビ局「スカイ」と交わしたものだった。1992年から1997年までの5年間で行われた全300試合(年間60試合)で、2億5760万ユーロが支払われた。

ちなみに、2018年から2021年までのパッケージでは、40億2000万ユーロが支払われており、いかに権利の価格が高騰しているかが分かる。さらに、「BTスポーツ」が9億9400万ユーロを支払い、「アマゾン」や「BBC」といった大手もパッケージに入札している。

放映権収入の分配


実はプレミアリーグは、これらの放映権収入を各クラブに一定の割合で分配することになっている。1992年にはすでに、テレビ放映権と資金分配のモデルを一元化することが決められており、他のリーグに比べてはるかに公平な分配が行われている。つまり、各クラブ単位ではなく、リーグを一団体として成長させようとしているのだ。

具体的には、国内の放映権には合計約57億ユーロ、国際的な放映権には約17億ユーロが支払われており、プレミアリーグは1シーズンあたり24億ユーロ以上を各クラブに分配することになる。

さらに詳しく見てみると、プレミアリーグの放映権収入は3つに分かれている。

収入の内、50%は平等に、25%は各年度のリーグ最終順位に基づいて分配される。そして残りの25%は、テレビで放送される試合数に応じて支払われるため、ビッグクラブの方がより多くの資金を得ることになる。

18-19年シーズンの収入分配を見てみると、一番多く受け取っているのはマンチェスターシティで1億8000万ユーロ、一番少なかったのはハダースフィールドで1億1500万ユーロ弱だった。約7500万ユーロの差があることが分かる。

しかし、ラ・リーガを見てみると、バルサやレアルが1億6000万ユーロ、アトレティコが1億2000万ユーロで、他のクラブは1億ユーロ以下となっており、「ビッグクラブとその他クラブ」という構造が作られている。ラ・リーガも近年プレミアリーグの構造を真似ようと努めており、2015年にようやくテレビ放映権販売の一元化に踏み切った。プレミアリーグよりも23年遅れている。

各クラブにおけるオーナーシップ制度

サッカーは長年にわたり、大物実業家や投資ファンドの憧れの的であり、近年では欧州サッカー界の他の地域にも広がっている。

現在、プレミアリーグの全てのクラブには1人以上のオーナーがいる。クラブが億万長者の所有する会社のパートナーシップであることは、常にスポーツビジネスの最先端を走るアメリカのスポーツ界ではごく普通だが、30年前までは欧州サッカー界では珍しいことだった。その理由の一つに、欧州では2部リーグや3部リーグへの降格のリスクが伴っていることがある。

現在も降格システムは存在しているが、昔よりは多くの企業・実業家・投資家・投資ファンドの手に渡っている。プレミアリーグの20の各クラブオーナーの国籍は、イングランド人が7人、アメリカ人が4人、中国人が2人、イタリア人が2人、ウェールズ、アブダビ、エジプト、タイが1人ずつとなっている。先日までロシア人のアブラモビッチ氏がチェルシーを保有していたが、情勢の影響で手放すこととなった。

アブラモビッチ

イングランドでは、プレミアリーグだけでなくチャンピオンシップ(2部)のクラブにも1人以上のオーナーが存在する。

このシステムに関しては、イタリア、フランス、スペインも同様だが、スペインに関しては、オサスナ、ビルバオ、バルセロナ、レアル・マドリードはオーナーを持たない。これらのクラブは、「ソシオ」がクラブの100%を所有しており、4〜5年ごとにクラブを率いる理事会と会長が選挙で選ばれる。

他方、ドイツには「50+1ルール」と呼ばれるものがあり、ソシオが過半数の株式を保有しなければならないということが法律で定められている。つまり、主導権は常にファンにあるのだ。ただし、レバークーゼン、ヴォルフスブルク、ライプツィヒは例外となっている。

まとめ


ここまで、プレミアリーグが欧州No1である所以を見てきた。やはり一番大きな項目は、「放映権の分配」だ。リーグ自体が管理することで、プレミアリーグに所属する20クラブの差が広がりすぎないようになっている。今後も、当面の間プレミアリーグがサッカーを引っ張っていくことになるだろう。

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