パンデミックからの回復、規制の段階的緩和、スポーツ活動の再開、観客の復帰に伴い、イタリアのスポーツシステムで活動する企業による投資は大幅に増加してきている。

2021年のイタリアのスポーツスポンサーシップ市場は、前年比15.7%増の7億5200万ユーロを記録。この数字は、2020年と比較して好転を反映しているが、絶対値ではまだコロナウィルス蔓延前の水準には程遠い。

実際、2019年のスポンサーシップの金額は9億300万ユーロで、この数字と比較すると現在では1億5000万ユーロ不足しており、この水準に戻るのは2024年という予測になっている。

暗号通貨分野の企業の参入、スポンサー面ではユベントスがずば抜けている


今年のイタリアのスポンサーシップ市場における急激な成長は、主に暗号通貨分野に属する企業のスポンサーシップ市場への参入によるもので、全体の27%の収益がこの分野から得られている。

この新しい分野で最も重要な提携は、インテルがメインスポンサーとしてSocios.comと契約したもので、1シーズンあたり1600万ドルを得ることになる。一方、ユベントスはユニフォームのバックスポンサーとしてCygames、袖スポンサーとしてBitgetとの契約を締結した。

これらの新規事業によるイノベーションがあったにもかかわらず、最も絶対額が大きいメインスポンサーは、依然としてJeepだ。

ユベントス本体を統括するアニェッリ家の持株会社ExorがメインパートナーであるStellantis(Jeep)は、セリエA史上最高額の年間4500万ユーロでユベントスのユニフォームに採用されている。

テクニカルスポンサーという点では、ユーベは常に際立っており、ヨーロッパのビッグクラブと肩を並べるアディダスとシーズンあたり5100万ユーロの契約を結んでいる。そんな中でライバルのミランやインテルは年間わずか1000万ユーロと大幅に下回っている。

興味深いのは、カッパとの契約を打ち切ったナポリが、アルマーニとのコラボレーションでユニフォームを自主制作し、商業契約を結ばず、収益の一部をこの分野のプロジェクトに充てることにしたことである。

サッカーイタリア代表は、ユニフォームの価値が高まり、ユーロ2020優勝をきっかけにアディダスと年間約4000万ユーロという有利な商業契約を結び、プーマと規定していた以前の2200万という契約のほぼ倍となる金額となった。

市場の脅威となる「eスポーツの到来」


スポンサーシップ投資の再開にもかかわらず、”物理的な”スポーツの世界は、知名度や魅力の点で”eスポーツ”の世界という大きな競争相手の到来に対処しなければならなくなった。

実際、BMWやLevi’sなどの大手ブランドは、eスポーツのチームや個々の選手のスポンサーとなることを決め、”従来の”スポーツに使えたであろう資金を温存している。

その分をスポーツイベントに関心が低くeスポーツの方により興味を抱いている若者にアクセスするために資金の使い方をシフトチェンジしている。

したがって、2020-21年から男子セリエAがeセリエAチャンピオンシップを開催し、観客と投資を呼び込むような戦略をとったことは戦略的と言えるだろう。