バルセロナ

FCバルセロナの目標は、この夏のオフシーズンで選手との契約を完全に自由に行える状態にすること。6月29日に19-20年シーズンからの税引き前損失が8億ユーロ近くになることが判明し、その目標達成は容易なものではなかった。ではどのように解決されたのか。

まずは5年間でコロナウイルスの影響を緩和できる特権をラ・リーガから与えられ、他方では、クラブ史上最大の非スポーツ的資産の売却が行われた。 これ以外方法はなかったのか。 今後数年間にどのような影響を及ぼすのだろうか。

バルセロナは、絶対額ではパンデミックに起因するすべての損失を22-23年シーズンから26-27年シーズンの間に分散させることを認めるルールから最も恩恵を受けているクラブと言える。バルサの会計を基にした2Playbook紙の試算では、19-20年と20-21年に合計で約3億7000万ユーロのコロナによる損失があった。

ただ、バルセロナが積み重ねた今シーズンの損失をすべて回復するためには、21-22年終了後の夏に約4億8550万ユーロの利益を必要としていた。コロナウイルスの影響によるものが5550万ユーロ、コロナウイルスに起因しない赤字が4億3000万ユーロだ。そしてその赤字は、テレビ放映権の10%を売却することで穴埋めされることになる。最終的には25%になる可能性もある。

最初の割当はSixth Streetの株式の10%で、2億750万ユーロの資金注入と2億6700万ユーロの会計上の資本利得を意味する。そしてラポルタは、同価格でさらに15%を追加できると見積もっており、その場合、プラス4億5000万ユーロという途方もない金額になる。

ただこれに関しては、経済担当副社長のエドゥアルド・ロメウが、売却額は10%に抑えるのが理想だと主張してきたことと食い違う。その理由は、今後のクラブの収益への影響を最小限に抑えるためということに他ならないが、テレビ放映権を担保にクラブへの融資の一部を担っているゴールドマン・サックスをはじめとする債権者との追加交渉が必要であることも一つの要因だ。

21-22年シーズンの決算では、バルサの経常費用と経常収益を生み出す能力との間に、まだ大きなギャップがあることが明らかになった。実際、今年の達成できなかった予算では、1億ユーロ以上の給料カット、2500万ユーロの新規スポンサー参入、5000万ユーロでのバルサ・スタジオの売却が想定されていた。

ロメウは、給料カットに関してはまだ約1億5000万ユーロ削減する必要があり、4億ユーロ程度にすることができると認めた。それは、すでに50%近い減俸で契約を更新したセルジ・ロベルトのようなキャプテン達の契約の見直しや、バルトメウ前会長時代(コロナウイルス流行前)にまとめられた契約の年俸がすでに市場平均を大きく上回る、つまりクラブの新しい給与体系から大きく外れている選手たちの退団を伴うものだ。

コロナウイルスの損失に関するリーガ・エスパニョーラの柔軟さにより、本来ならバルサのサラリーキャップは、23-24年と24-25年に7400万ユーロ分、25-26年と26-27年に8300万ユーロ分引き下げられるだけで済むことになった。つまり、クラブに6億ユーロの権利があるとすれば、ラ・リーガから認可される金額は、今後4年間でそれぞれ5億2600万ユーロ(23-25年)と5億1700万ユーロ(25-27年)になる。

しかし、この6億ユーロ以上というサラリーキャップに達するのは、売上高が8億3630万ユーロと過去最高を記録し、1億ユーロ以上の移籍によるキャピタルゲインが得られた18-19年に認められただけであるため、短期的には現実的ではない。

さらに、バルサスタジオやバルサ・ライセンシング&マーチャンダイジング(BLM)の一部売却といったより大きな支出削減を選ばず、テレビ放映権の最大25%を売却するという選択をしたことによる影響も加えなくてはならない。ロメウ自身、この選択は、ラ・リーガがクラブに分配する放映権料の最大25%に相当する年間4100万ユーロの収入をあきらめることを意味し、現実的なシナリオは、現在の放映権料の価値を維持することだということを認識している。

ラポルタ

この犠牲は、バルサスタジオおよびBLMが将来生み出す可能性のある理論的な配当の半分を放棄するよりもはるかに大きなもの。前者については、中期的に2億ユーロに達する可能性のあるEBITDAが事業計画として設定された(ただし、常に新たな収益の創出を前提とする)。後者については、年間2000万〜3000万ユーロの安定したマージンが期待されており、Fanatics社とInvestindustrial社はこれに期待して最大2億7500万ユーロを投資するつもりであった。

しかしラポルタは、BLMの49.9%を上限とする出資を保留することを決定した。経営権を譲り、産業パートナーがロードマップの設計や事業をリードする担当者の人選に口を挟むことを望まないからだ。新しいシナリオでは、配当金だけを期待して必要なら第三者に経営を任せるというファンドに、店舗の20%程度をパッケージとして売り出すことが検討されているという。

この2つの売却を選択した上に目的が達成されれば、3億ユーロ以上の収益を上げることができたが、テレビ放映権の25%を売却した場合の6億6750万ユーロという金額をはるかに下回るものであった。つまり、2022年夏の移籍市場で制約なしに活動し、選手獲得に2億ユーロを投資することさえできれば良いというラポルタの目標には不十分だったのだろう。その代わり、この移籍市場ではより慎重になるべきである。

特に、4100万ユーロというテレビ放映権収入の減少に加え、エスパイ・バルサの工事期間中は試合会場の収入が減少することを考えればなおさらだ。エスパイ・バルサの工事による一時的な本拠地に関しては、以下の記事をご覧いただきたい。

結論として、今後数年間は、この2つの主要事業(テレビ放映収入と興行収入)が影響を受け、新たなスポンサーシップの参入だけでは補いきれない収入の穴が開くことになる。主な生命線はエスパイ・バルサが生み出すすべての活動で、ゴールドマン・サックスと合意した15億ユーロの資金調達のロードマップでは、年間2億ユーロの新しい収入が得られると述べられている。

放映権の売却で21-22年の赤字は逃れられたものの、あくまでも”一時的”ということは忘れてはいけない。今後どのような経営を展開していくか注目だ。