バルセロナ

FCバルセロナは、子会社の『バルサ・ライセンシング&マーチャンダイジング(BLM)』の49%を、Fanatics社とInvestindustrial社が結成したコンソーシアムに、2億ユーロ(約268億円)で売却する方向で最終調整しているという。

取締役会の考えは、小売部門の一部売却に関して6月30日までに臨時株主総会を開く必要があるため、今後数週間のうちに正式決定できるようにすることだそう。これは、ラ・リーガ・インプルソに参加することなく21-22年の収支を均衡させるための唯一可能な方法だ。

ジョアン・ラポルタ会長率いるクラブが事業の過半数を維持するという当初の考え方は全く変わっていない。実は、このビジネスラインには、数字こそ変わったものの、すでに買い手からオファーが来ているのだ。事情に詳しい人物は、「バルサコーポレートの枠組みで最初に提示した金額より若干少ないですが、1年で状況は大きく変わりましたし、実際あのプロジェクトはメッシに大きく依存していました」と言う。

メッシ

当時、投資家に提出された資料では、20-21年の5528万ユーロから24-25年には1億363万ユーロと順調に収益が伸びていくことが記されていた。この成長は、主にD2Cによってもたらされるもので、ここ数ヶ月、BLMは多くのフランチャイズ契約を解除することになった。

具体的には、実店舗は5年後に3570万ユーロから6670万ユーロに、オンライン販売は24-25年に2倍以上となる1910万ユーロに成長させるというものだった。しかし、この数字はおそらく修正を余儀なくされたものと思われる。

一つ目の理由は、これらの予測は、パンデミックがそれほど長く続かないと予想されていた2020年末に行われたものだからである。そしてもう一つは、当時はメッシが退団することがまだ決まっていなかったから。実際、当時のマーチャンダイジングのプロジェクトは、メッシありきで行われていたという。

FCバルセロナの小売部門に関する経済予測

20-21年

売上:2168万ユーロ

EBITDA:-490万ユーロ

21-22年

売上:7711万ユーロ

EBITDA:1713万ユーロ

22-23年

売上:8854万ユーロ

EBITDA:2115万ユーロ

23-24年

売上:9716万ユーロ

EBITDA:2446万ユーロ

24-25年

売上:1億363万ユーロ

EBITDA:2686万ユーロ


BLMの20-21年の決算では、売上高が60.1%減の2168万ユーロに落ち込んでいることが明らかになった。カンプノウの入場制限やバルセロナに観光客が訪れられないことが重しとなり、バルセロナの小売は、6300万ユーロと記録を更新した18-19年の3分の1にまで落ち込むことになったのだ。また、18-19年に立てられた8000万ユーロという目標の4分の1にあたる。

このような状況により、BLMは前年度の26万3000ユーロの純利益に対し、20-21年度には829万ユーロの損失を計上することになった。バルサコーポレートの計画では790万ユーロの営業黒字を見込んでいたが、EBITDAは480万ユーロのマイナスだ。中期的には、売上高をはるかに上回る速度でEBITDAが成長し、24-25年には2690万ユーロに達すると予想されている。

バルセロナ

最終的な締めは不明だが、取締役会は、スタジアムの入場制限解除や外国人観光客の回復に支えられ、BLMの売上高が「非常に大きく回復する」と確信している。

BLMは、6つの直営店(カンプノウ、パセオ・デ・グラシア通り、ランブラス通り、ラ・ロカ・ビレッジ、バルセロナ空港のターミナルに2つ)、10のフランチャイズ(国内9つ、海外はメキシコ1つ)、350以上のライセンス契約、2000以上の製品ポートフォリオから成り立つ。