バルセロナはヨーロッパリーグの決勝戦に進出しなければ、予想収入額(2500万ユーロ=約32億円)に近づけることができない。それに加えて、バルサスタジオの売却と新しいスポンサーシップがある。

FCバルセロナは、チャンピオンズリーグ最終節でバイエルンに敗れたが、グループステージ敗退という屈辱だけでなく、金銭面にも大きな影響がでる。具体的には、2021-2022年の予算から2100万ユーロ(約26億9000万円)強が消え、収支を合わせるために必要な収入は1億ユーロ(約128億円)近く不足することになる。ヨーロッパリーグの決勝戦に進出し、カンプノウの観客動員数が回復すれば、この不測の事態を緩和することができるだろう。

バルセロナの経営委員会の会長ジャウメ・グアルディオラ氏は、代議員総会で承認された7億6500万ユーロ(約979億7300万円)の予算について触れた。この金額はリーガ・サンタンデールと国王杯を制覇し、チャンピオンズリーグの準々決勝に進出すること前提で組まれた予算であるため、前年比21%増となっている。

今回のチャンピオンズリーグ敗退により、2100万ユーロ(約26億9000万円)の「損失」が生まれることになった。ベスト8やベスト4まで順当に勝ち進んでいれば、ホームの試合の興行収入も含めて2500万ユーロ(約32億円)の収入を見込めたという。

バルセロナはヨーロッパリーグにまわることになったが、ヨーロッパリーグが生み出すビジネスは、チャンピオンズリーグとは大きく異なる。チャンピオンズリーグのグループステージで敗退した後、ヨーロッパリーグの決勝まで進出したインテル・ミラノは、2019-2020年に1690万ユーロ(約21億6400万円)の収入を得た。決勝でもしセビージャFCに勝っていれば、2100万ユーロ(約26億9000万円)を得られたそうで、この金額はまさに今バルサが必要としている金額だ。

バルサが打ち出した予算は非常に楽観的な考えである。近年の欧州での成績を受けて、2020-2021年シーズンはチャンピオンズリーグのベスト16に進出するための予算のみにしたレアル・マドリードとは真逆だ。同じく商業分野の見通しについても、過去2年間にスポーツ業界の広告投資が全般的に減少したにもかかわらず、バルサは成長を見込んだ予算を立てた。

商業分野では、前年同期比9%増の2億9200万ユーロ(約374億円)という成長目標が発表された。クラブはこの改善を「マーチャンダイジング・ショップの再開」によるものと考えており、「昨シーズン中に締結したスポンサー契約のマイナス額」を補うことができるという。パンデミックのため、リテールビジネスは2018-2019年シーズンの6140万ユーロ(約78億6300万円)から、2020-2021年シーズンにはわずか2400万ユーロ(約30億7400万円)と、ほぼ3分の1に減少した。

さらに経営陣は少なくとも2500万ユーロ(約32億円)の新規スポンサーとの契約を予算化した。日本時間12月15日(水)に行われるボカジュニオールズとの親善試合で得られる300万ユーロ(約3億8400万円)を除けば、現時点では他の契約はない。さらにメインスポンサーである楽天とベコの撤退は確実視されている。もしこのままリーグ戦で調子が上がらず来年のチャンピオンズリーグ出場権を逃してしまうようなことがあれば、2018-2019年シーズンの年間売上高7400万ユーロ(約94億7700万円)に届くことはまず不可能になるだろう。

移籍金などに関しては、バルサは今シーズンの収入を45%増の8100万ユーロ(約103億7300万円)と見込んでいる。この収入の一部は、「レンタルで放出した選手(グリーズマンとトリンカーン)の減損の戻し」に相当するが、これも費用として計上されているため、実際の影響はゼロとなる。

この夏、ラポルタ会長は選手の給料を減らす努力をしていたが、レオ・メッシの退団と3人のキャプテン(ジェラール・ピケ、セルヒオ・ブスケツ、ジョルディ・アルバ)が受け入れた減額により、今シーズンの給与への総支出は24%減の4億7000万ユーロ(約602億円)となる。しかしさらなる調整も必要となるだろう。ラポルタ会長はこのことを十分に理解しており、6ヶ月以内に行動を起こす必要がある。主力選手を大金で放出するのか、もしくは所属選手の給与をカットするのか。