スペインでは、ラ・リーガの各節で最低でも1試合は民間放送を行うことが義務付けされているなか、ラ・リーガは長年それを廃止しようと動いている。

というのもこの試合を有料放送会社に同じパッケージで販売すると、現在民間放送チャンネルが支払いを検討している金額よりもかなり多くなるからだ。

また、ハビエル・テバス会長が率いるラ・リーガは、1部・2部の民間放送チャンネルから無料試合の放映権獲得に関するオファーを受けておらず、ラ・リーガは値段を500万ユーロまで下げなければいけないという。

この新たに設定された値段は最低価格であり、その内訳は1部リーグの試合は400万ユーロ(約5.4億円)、2部リーグの試合は100万ユーロ(約1.35億円)となっている。12分のハイライトは、非独占的に与えられる可能性を残しており、ラ・リーガは1シーズンあたり少なくとも1000万ユーロ(約13.5億円)の収益を見込んでいる。

放映部門の関係者によると、民間放送のサッカーの価値が失われたのにはいくつかの要因があるという。OTTブーム後の大量のコンテンツに加え、広告の事情もあり、投資対効果を得るのはより困難となっているのだ。

またブックメーカーの広告から収入を得ることができなくなるという大きな打撃に注目しなければいけない。スペイン政府がブックメーカー企業のメディアへの出演を一切禁止したことで、これまでテレビ、メディア、チームへの支出8,000万ユーロ(約108億円)も減少したという。

スポンサーシップへの支出は、2021年には28.8%減の1,900万ユーロ(約25.65億円)となったが、まだ多くのラ・リーガのチームがユニフォームにブックメーカー企業のロゴを載せられることが許されていた最後のシーズンであるため、この減少率は抑えられた。

実際、昨年度上半期と下半期を比較すると、82.2%の減少となっている。広告宣伝費については、6月までの1.33億ユーロ(約180億円)から下半期は7,100万ユーロ(約96億円)と、46%急減している。

そして、どのチームの試合を実際に放送できるかという点も重要なポイントとなる。民間放送用の試合は、レアル・マドリード、FCバルセロナ、アトレティコ、バレンシア、およびヨーロッパの大会でプレーするチームの試合は対象外となっている。

つまり、ここ数年の成績から考えても、セビージャ、レアル・ベティス、ビジャレアルCF、レアル・ソシエダが出場する試合は、もし勝ち進んだ場合、除外される可能性が高いのだ。

特にアンダルシア地方の2つのクラブ(セビージャとベティス)のメディアへの影響という点では、決して小さな問題ではない。「全国レベルで最低限の視聴者シェアが残っているのは、アスレティック・ビルバオだけでしょう」という意見も上がっている。

ラ・リーガは、6月6日までに新たなオファーを受け入れると発表し、それが再び設定金額を下回る場合、関心のある放送局と個別に交渉を開始すると述べた。

「GOL TV」で放送しているこれらの権利の所有者であるMediaproと更新を求めるか、ここ数ヶ月スポーツ放送への投資を再開し、カタールワールドカップのサブライセンスやユーロ2024の独占権を獲得したRtve(スペイン公共放送)と契約することをラ・リーガは望んでいる。