ブロックチェーン

海外のサッカービジネスニュースには1週間に何回もファントークン、ブロックチェーン、暗号資産、NFTといった、聞いたことはあるけど意味の分からない単語、あるいは人によっては全く聞いたこともない単語が度々出てくる。

今回の記事はサッカー業界とは少し離れるが、これから投稿する記事にも幾度とでてくる重要な要素なのでしっかりと理解しておこう。

そうすればより一層、ブロックチェーン技術が現在どれほどサッカー業界に浸透しているのかを理解できるだろう。

Web2.0とWeb3.0の違い

まず大事なのが今のインターネットの環境と次世代のインターネットの環境だ。現在我々を取り巻くインターネットは政治で例えるなら中央集権国家、いわゆる社会主義や共産主義のようなもの。複数の巨大なサーバーに我々は情報を格納し、それらの情報はそのサーバー内でグループ化(暗号化)される。

例えばあなたがInstagramにラーメンの投稿をしたとする。その時点でその投稿はInstagramに属した情報になる。ただしInstagramに投稿する人はあなただけでなくあなたの友人、家族もしているだろう。そんな彼らもInstagramで投稿をすればInstagramの情報になる。簡単に説明するとこれをWeb2.0という。

一方で、現在我々はWeb2.0からWeb3.0への移行期にいる。これまでは一つの大きなサーバーに情報を集中させていたもの一つ一つを暗号化して情報を分散させようとしている。まず従来(web2.0)の情報のやり取りの流れを見てみよう。

Web2.0の場合

例えばあなたが友人からメッセージを受け取る。このときの情報の流れは

友人→サーバー→あなた 

なぜならあなたが送ったメッセージ(情報)は一旦どこかのサーバーにて暗号化、つまりグループ化されるからだ。次にWeb3.0を見ていこう。

Web3.0の場合

友人→あなた になる。

これはあなたが送ろうとしている情報そのものがサーバーを介さずとも暗号化されあなたに送られるからだ。これを実現させているのがブロックチェーンと呼ばれる技術だ。

ブロックチェーンとは

簡単に説明するならば同じ情報を様々なところに散らばらせる技術。Web2.0ではデータ1つ1つを、1つのサーバーでグループ化する必要があったが、ブロックチェーン技術を用いたWeb3.0の世界では、それぞれのデータが一つずつ暗号化(ブロック)されて様々な場所に散らばり、各々の情報が数珠繋ぎ(チェーン)状になっている。

例えばAさん→Bさん→Cさんの流れでモノが取引されたとする。従来ならこの取引記録がサーバーで管理されていた。もしサーバーが何らかの理由で破損してしまった場合にはこの取引記録も無くなってしまう。

一方、この取引記録が無数の場所に散りばめられていた場合はどうだろうか。この取引記録を保持しているAさんのコンピュータ(ノード)が機能しなくなったとしても全く同じ情報がBさん、Cさんのノードに存在しているので取引記録が失われる可能性は0に等しい。この盤石な記録、管理システムが暗号資産を実現させている。

NFTとは

Non-Fungible Tokenの略で日本語に直すと非代替性トークン。トークンはこの分野では「デジタル資産」と捉える。NFTとはつまり唯一無二のデジタル資産のことを意味する。

ブロックチェーン技術によってどんなデータ(動画、ゲームのキャラクター、アイテム、写真、etc)でも資産化できる。そのNFTを用いたのが欧州では着々と普及しているSorareというブロックチェーンのサッカーゲームだ。

海外で話題のSorareとは

このゲーム内ではたくさんのサッカー選手のカードが発行される。この時点で発行されたカードは既にデジタル資産、すなわちNFTになっている。ユーザーはこの選手カードをリアルマネーで購入してゲーム内の大会に参加できる。

大会のスコアは、自分が保有しているカードの選手が現実世界でどのような活躍をするかで変わり、同時に保有している選手カード各々の評価額も変動する。

また、ユーザーは保有しているカードを他のユーザーに売ることも可能。つまり安く買った選手のカードが保有していくうちに価値が高まって高く売れることもある。Sorareに関しては過去にも幾つか記事を投稿しているのでこちらをご覧ください。

各クラブが発行しているファン・トークンとは

ファン・トークンとは言わばクラブ独自の通貨だと捉えてもらいたい。仮想通貨の一種だがこのトークンは前述したNFT(非代替性トークン)ではなくFT(代替性トークン)。無論、ファントークン通貨であり、唯一無二のデジタル資産ではないため後者に分類される。

ファン・トークンの所有者であるメリット

1.価値が変動する

クラブ独自の通貨であるため、クラブが成功しだすと平行して通貨の価値も上がってくる。

2.ファンが享受できるサービスが増える

ファン・トークンの特典としてクラブの限定商品を購入できたり、割引を受けたりすることができる。その他、クラブ運営に関する投票においての権利があるなどクラブによって様々だ。

3.好きなチームに貢献できる

従来では好きなチームに一般人として経済的に貢献するにはグッズを買ったり、現地に試合を見に行ったり、あるいは配信されているのを観戦するぐらいしかなかったのが、クラブ独自の通貨を購入することで別の方法で貢献できる。更にはリアルマネーは減っても暗号資産として換算されているだけであるため実質±0なのだ。

まとめ

このようにクラブとしては資金調達にもなる上に、ファンとのエンゲージメント(ファンとの関係性)も強化できる。コロナ禍ではチケット収入の大幅減少などで経済的に苦しめられているクラブが多く、ファン・トークンは、そんなクラブが立て直すための重要な要素を担っている。

ブロックチェーン技術を用いたサービスは今後より一層バラエティ豊かになり、サッカービジネスにおいては必要不可欠な存在になるだろう。